赤ちゃんのミルクを作るときに水道水を使っても大丈夫なのか、気になる保護者の方は少なくありません。日本の水道水は世界的に見ても品質が高いとされており、基本的には安心して使用できると言われています。しかし、赤ちゃんの健康を考える上では、知っておきたい注意点もいくつか存在します。
とくに残留塩素やトリハロメタンなど、微量ではあるものの気になる成分が含まれていることも確かです。また、調乳には70℃以上のお湯を推奨するガイドラインも存在し、いかに安全な温度の水を用意するかが重要なカギとなります。
本記事では、水道水の基礎知識から調乳時のポイント、ミルク作りに適した水の種類や異常時の対処法まで詳しく解説します。赤ちゃんが安心して飲めるミルクを作るため、日常的に使う水道水の取り扱い方を改めてチェックしてみましょう。
水道水でミルクを作るメリットと注意点
身近な水道水をミルクに使用することで、経済面や手軽さの面で大きなメリットがあります。しかし、安全確保のためには気を配るべき注意点も存在します。
水道水は蛇口をひねるだけで簡単に使えるため、調乳時の準備が軽減され、忙しい育児中でも負担を抑えられる点が魅力です。経済的にもコストがかからないため、長期的に見れば家計への負担を抑えることができます。また、日本の水道水は法律や自治体の基準により厳しく管理されており、多くの場合は殺菌も行われているため、日常生活で使用する分には問題ないことが多いです。
一方で気を付けたいのが、水道水に含まれる残留塩素やトリハロメタンなどの成分です。大人の体にはほぼ影響がないレベルですが、免疫機能が未発達な赤ちゃんに与えるとなると多少の不安要素も残ります。こうしたリスクを極力抑えるために、ミルクの調乳前に必ず一度沸騰させるなど、正しい手順を踏んで水を取り扱うことが大切です。
日本の水道水は厳しい基準で管理されている
日本の水道水は、水道法によって細かい水質基準が設けられ、自治体や各施設が定期的に検査を実施しています。これにより、細菌や有害物質が規定値を上回らないように常に管理が行われており、世界的に見ても安全性は高いと言われています。
さらに、日本の上水道設備は年々技術が向上し、濾過や消毒などさまざまな段階を経てから家庭の蛇口に届きます。このようなプロセスのおかげで、赤ちゃんのミルク作りに用いるうえでも大きな問題は起きにくいと考えられています。
残留塩素やトリハロメタンなどの気になる成分
水道水には塩素が含まれており、細菌繁殖を抑える効果がありますが、その結果として微量の塩素が残留します。また、塩素が有機物と反応して生成されるトリハロメタンもごく少量含まれる可能性があります。
いずれも基準値以下で健康被害が出るレベルではないとされていますが、赤ちゃんに使用する場合は一度沸騰させて塩素を揮発させたり、浄水器を使用したりするなどの工夫が有効です。特にトリハロメタンは温度が上がると揮発する性質があるため、ミルク作りに適した70℃以上のお湯であれば対策しやすいというメリットがあります。
出典:https://www.waterworks.metro.tokyo.lg.jp/faq/qa-22(水質<水道水の安全性・その他>|よくある質問 – 東京都水道局 参照)
調乳の基本:なぜ70℃以上のお湯が推奨されるの?
赤ちゃんのミルクを作る際、粉ミルクメーカーや医療機関などから70℃以上のお湯で調乳するよう推奨されています。これは、ある特定の菌に対する安全策です。
粉ミルクは清潔に管理されていますが、それでも製造・流通のどこかで菌が混入するリスクを完全にゼロにすることは難しいと考えられています。赤ちゃんはまだ抵抗力が弱いので、少量の菌でも健康に影響が及ぶ可能性があります。
このため、メーカーや国際的な保健機関などが、赤ちゃんの胃腸を保護する観点から調乳は70℃以上のお湯を使用するように推奨しているのです。たとえ水道水を使う場合でも、一度しっかりと沸かしたあと、適切な温度にしてから粉ミルクを溶かす手順を守ることが重要になります。
サカザキ菌リスクと正しい加熱温度
赤ちゃんのミルクに潜む菌の代表例として、サカザキ菌が挙げられます。サカザキ菌は一部の粉ミルクで検出されることがあり、重篤な感染症を引き起こす可能性があるとされています。
対策としては、70℃以上のお湯でしっかりと粉ミルクを溶かしてから冷ますというプロセスが有効です。この温度であればサカザキ菌が死滅すると説明されており、赤ちゃんの健康リスクを大幅に減らすことが期待できます。
実施手順:沸かしてから一度冷ますまで
まず水道水を沸騰させ、湯が約100℃に達したのを確認してから火を止めます。空気中に触れて冷まし始めることで温度が緩やかに下がり、調乳に適した70〜80℃前後になります。
沸騰直後は非常に熱いため、ミルクを溶かす際にやけどをしないよう注意しましょう。また、湯温が高いままですと栄養バランスが崩れるという意見もあるので、適切な温度範囲を守ることが赤ちゃんへの配慮となります。
出典:
(粉ミルク(乳児用調整粉乳)を70℃以上のお湯で溶かすワケを知っていますか? 参照)
豊富な選択肢:赤ちゃんに使える水の種類
水道水以外にも赤ちゃん用のミルクを作るのに適した水の種類は多彩に存在します。それぞれの特徴を知ることで、より安全な選択が可能となります。
赤ちゃんのミルク作りに使われる水は、水道水に限らずさまざまな水が候補に挙げられます。たとえば、浄水器でろ過した水や、市販のミネラルウォーター、ウォーターサーバーなど、ライフスタイルに合わせて使い分けられる点が特徴です。
いずれを選ぶ場合でも、共通して大切なことは水質検査の結果や硬度の確認です。赤ちゃんは成長過程が早く、ミネラルバランスの過不足に敏感なため、なるべく硬度の低い水を選ぶことで胃腸への負担を軽減することができます。
水道水をさらに安全にする浄水器・ウォーターサーバー
浄水器を使えば水道水から塩素や不純物を除去できるため、赤ちゃんのミルク作りに不安を感じる場合は効果的な選択肢となります。蛇口に取り付ける簡易タイプからシンク下に設置する本格的なタイプまで、家庭の事情に合わせて選べます。
ウォーターサーバーを導入すれば、温度管理がしやすく手軽にお湯を使えるため、夜間や忙しい時間帯でも素早く調乳できるメリットがあります。ただし、定期的なフィルター交換やサーバー本体のメンテナンスを行い、衛生管理を怠らないようにしましょう。
赤ちゃんのミルク作りに適したウォーターサーバーの選び方や作るときの注意点についてはこちらの記事をご覧ください。
RO水や軟水ミネラルウォーターの特徴
RO水(逆浸透膜ろ過水)は、水中の微細な不純物までほぼ完全に除去できるため、赤ちゃん用の安全な水として注目されています。ただし、高性能ゆえに導入コストやメンテナンス費用が比較的高くなる傾向があります。
一方、硬度が低い軟水のミネラルウォーターは、赤ちゃんの消化器官にもやさしく、調乳や離乳食にも応用しやすいでしょう。購入の手間がかかりがちですが、育児で忙しい家庭では宅配サービスを活用するなど、使い勝手を優先して選ぶのもポイントです。
ミルクメーカーの公式見解は?国内外の推奨例
粉ミルクのメーカーや国際的な保健機関は水選び・調乳について公式ガイドラインを公開しています。基準や推奨度合いを確認し、安心してミルクを準備しましょう。
国内外の粉ミルクメーカーは多くの場合、水道水を一度沸騰させ、70℃以上に保った状態で粉ミルクを溶かすことを推奨しています。これは先述したサカザキ菌などの万が一のリスクを下げるための措置で、赤ちゃんの安全を最優先した基準です。
また、世界保健機関(WHO)などの国際機関も同様の方針を示しており、特に新生児や未熟児のミルク作りには慎重すぎるぐらいの対策が取られています。メーカーが提供する取扱説明書や公式サイトの情報をこまめに確認し、一貫性のある手順をとることが大切です。
出典:https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/qa/dl/070604-1b.pdf(乳児用調製粉乳の安全な調乳、 保存及び取扱いに関するガイドライン 参照)
水道水の異常時にどうする?意外と知らないトラブル対処法
万が一、水道水にトラブルが生じた場合、赤ちゃんのミルク作りへの影響は大きいものです。事前の知識と対策を身につけることで、緊急時にも落ち着いて対応できます。
地震や台風などの災害時には、急に蛇口から濁り水が出る、一時的に供給がストップするなどの事態が起こり得ます。また、古い建物では貯水タンクの汚れや配管の劣化によって、水質が通常と違ってしまうケースも珍しくありません。
こうした状況下で赤ちゃんのミルクを作らなければならないときは、代替水として市販のミネラルウォーターや備蓄しているRO水を使うのが無難です。今後の緊急時に備えて、普段から数日分の飲料水を確保しておくとよいでしょう。
臭いや色が気になる場合のチェックポイント
水道水からカルキ臭や金属臭がする場合は、まずは蛇口や配管、貯水タンクの状況を確かめることが大切です。フィルターや内部の汚れが原因というケースもあり、清掃や部品交換で改善することもあります。
もし色や味に異常があると感じたら、安全が確認できるまでは赤ちゃんのミルク作りに使用しないのがベターです。可能であれば応急対策として浄水器を通すか、市販の水を利用するようにしてください。
検査キットや自治体相談の活用法
自宅の水質を簡易的に調べられる検査キットが市販されています。こうしたツールを使うことで、目には見えない有害物質の有無や水質の傾向をおおまかに把握できます。
さらに、自治体が行う水質検査を利用するのもおすすめです。自治体では専門の研究機関を通じて精密な検査を行い、結果を開示しているところも多いので、不安がある場合は相談してみるとよいでしょう。
ミルク作りに最適なおすすめの浄水サーバー「Purest」
赤ちゃんのミルク作りに特化した機能を持つ浄水サーバーを紹介します。経済的で使い勝手の良いサーバーを活用し、安心・安全なミルクづくりを実現させましょう。
チャイルドロック機能があるためお子さまがいても安心して使える「Purest」は赤ちゃんの調乳にも使える高性能浄水サーバーで、細かい不純物や塩素、雑菌などを除去する仕様になっています。冷水・温水・常温水を使い分けることができ、70℃以上のお湯がすぐに用意できるため、夜間でも負担なくミルクを作れるのが魅力です。高機能浄水サーバー「Purest」に関するお問い合わせはこちらから。
離乳食にも応用!安全なお湯と水選びのコツ
ミルク作りだけでなく、離乳食に使う水やお湯の安全性も大事です。成長期の赤ちゃんに最適な水選びのポイントを押さえておきましょう。
離乳食ではさまざまな食材を水で洗ったり、ゆでたりする機会が増えます。水道水をそのまま使っても問題はありませんが、より安全性を確保したい場合は一度沸騰させたり、浄水器を通したりして不安要素を取り除くと安心です。
特に赤ちゃんが口にするものは、少しの雑菌や不純物でも体調を崩すきっかけになることがあります。ミルクだけでなく離乳食にも意識を向け、水やお湯の管理を徹底することで赤ちゃんの健やかな成長をサポートしましょう。
まとめ:赤ちゃんが安心できるミルク作りのために
赤ちゃんへの水選びは安心感と実用性を両立させることが肝心です。普段から水道水の管理や手順を確認しつつ、代替水や浄水器なども上手に利用しましょう。
日本の水道水は厳しい基準に基づいて管理されており、赤ちゃんのミルク作りにも問題なく使える水準を持っています。しかし、残留塩素やトリハロメタンが気になる方は、煮沸や浄水器、ウォーターサーバーなどで安心をさらに高める方法を実践するとよいでしょう。
どの水を使うにしても、粉ミルクの推奨温度である70℃以上のお湯を用意し、正しい手順で調乳することが基本です。緊急時や水道水に異常がある場合の対処法を把握しておけば、万が一のときにも落ち着いて赤ちゃんの食事を準備できるはずです。