「RO水」という言葉を聞いたことがありますか？自宅やオフィスへ届けてくれるウォーターサーバー用のボトルウォーターとして、名前を聞いたことがあるという方も多いのではないかと思います。また最近では店頭サービスとしてRO水を無料配布、または安価で購入できるスーパーやドラッグストアも。
RO水は、不純物を取り除いた 安全な飲料水として人気です。ミネラルウォーター、天然水といった水が手軽に買えるなか、なぜRO水が選ばれているのでしょうか。この記事では、RO水と天然水の違いや、RO水のメリットおよびデメリットについて詳しくお伝えしていきます。
RO水（ピュアウォーター）とは
RO水はピュアウォーター、もしくは純水と言われており、逆浸透膜（RO）フィルターを使用して、水の分子以外の水中に含まれている有害物質などの不純物を取り除いてろ過した純度の高い水のことを指します。ROフィルターは0.0001ミクロンと分子レベルの孔になっているため、理論的には水の分子だけを取り出すことが可能。ROフィルターには、海水を淡水化できるほどのろ過能力があります。そのため、RO水は胃腸に負担をかけずにすばやく体に浸透し、消化器官が未熟な赤ちゃんでも安心して飲める水なのです。
RO水は自宅等に届く定期配達のボトルウォーターや、スーパーまたはドラッグストアの店頭、家庭用のRO膜浄水器の使用により入手可能。従来だと「水道水を飲みたくない」という場合はミネラルウォーターを選ぶのが一般的でしたが、現在はミネラルウォーターに加えてRO水も選択肢に含まれています。
ROフィルターとは
ROフィルターの「RO」は逆浸透膜（Reserve Osmosis）の略であり、0.0001ミクロン（1000万分の1ミリ）の不純物まで取り除くことができるフィルターのことです。1960年代にアメリカで行われていた水不足対策研究の一環として、海水を淡水化させるために開発されました。
半透膜と呼ばれる動物や植物の細胞膜は、水溶液から水の成分だけを浸透させる性質があります。この半透膜の性質を利用した仕組みが逆浸透であり、通常の浸透圧とは異なり、水に圧力をかけることによって分子レベルの不純物を取り除き、水の分子のみを取り出すことが可能です。 現在存在している浄水フィルターのなかでも最高水準だと言われており、NASAの宇宙ステーションでは飲み水を循環させるために利用されています。
この電子顕微鏡でも見えないほどの小さな孔があいたROフィルターに水を通過させることにより、ヨウ素やセシウムなどの放射線物質、カルシウムやナトリウムのようなミネラル、ダイオキシン、ヒ素、農薬、環境ホルモン、トリハロメタン、鉛など様々な不純物を除去できるため、非常に安全な水だと考えられています。
RO水（ピュアウォーター）と天然水の違い
天然水は特定の地下水を原水としており、沈殿・ろ過・加熱殺菌以外の物理的や科学的な処理を一切行っていない水です。水源の種類としては井戸水、湧水、鉱泉水、温泉水、鉱水、伏流水などがあり、これらは長い時間をかけ何層もの地層でゆっくりとろ過された天然の水をくみ上げたもの。別名「ナチュラルウォーター」や「ナチュラルミネラルウォーター」と呼ばれ、ちなみに日本国内で採水している天然水のほとんどが軟水です。
天然水は必要最小限の人工的な処理しか行っていないため、水源によって硬度や味わいが異なるのが大きな特徴。よく目にする天然水の採水地として富士、南北アルプス、奥大山、南阿蘇、京都などがあり、それぞれの採水地によってミネラル成分（カリウム・マグネシウム・カルシウム・ナトリウムなど）の含有量が異なります。そのため天然水は、人によって好みが分かれる水と言えるでしょう。ただし、ミネラル成分が多く含まれている天然水の場合、調理に使うと味に影響を与える可能性も考えられるため注意が必要です。
それに対し、RO水は不純物を徹底的にフィルターでろ過し、高純度に仕上げた軟水です。水源がどの地域だとしても味や品質に関係がなく、一定の質が保たれた安全な水だと言えるでしょう。また、加熱殺菌を行わないため、水の風味を損なうことがありません。宇宙でも飲める水としてNASAで採用されているだけでなく、オリンピックの選手村などでも活用されている安心・安全な水です。
RO水にはミネラル成分が含まれていないため、無味無臭で特に目立った特徴はありませんが、逆に言えば味が邪魔をしないのがメリットのひとつ。コーヒーや紅茶などをいれる際にRO水を使用すると、素材の味を最大限に引き出すことができ、雑味のないおいしいドリンクになります。また、ミネラル成分が含まれていないため、赤ちゃんのミルク作りや服薬にも最適です。
RO水と天然水は原水や加工方法が異なるもので、どちらかが良いというわけではありません。そのため、好みや用途によって使い分けるのがおすすめです。
RO水（ピュアウォーター）ができる流れ
RO水（ピュアウォーター）ができるまでの流れをご説明します。
1．原水を採水
まずは、そのまま飲んでも安全な水を原水としています。RO水の原水には、国の安全基準を満たした水しか使用できません。逆に言えば、普通の水道水でも作ることができるということです。そのため、キッチンにも置ける家庭用のRO膜浄水器が存在しているほどです。
2．活性炭フィルターでろ過
活性炭フィルターを使用して、1ミクロン（1,000分の1ミリ）の不純物まで取り除きます。この活性炭フィルターで除去できる不純物は「塩素」、「カルキ」、「カビ臭」、「花粉」、「サルモネラ菌」などです。
3．軟水装置で鉱物イオンの除去
軟水装置を使って、マグネシウムやカルシウムなどの鉱物イオンを除去していきます。水に含まれる有機物の多くはプラスイオン。そのため、特別なマイナスイオン樹脂を使ったイオン交換装置を使うことで、水をマイナスイオン化させて鉱物類を取り除くことができます。
4．逆浸透膜フィルターでろ過
ここからさらに小さな不純物をろ過していきます。逆浸透膜フィルターは0.0001ミクロンと電子顕微鏡を使っても見えないほどの極小の孔になるため、分子レベルの有害物質まで除去が可能。水にぎゅっと圧力をかけて、逆浸透膜フィルターを通過させることによりピュアウォーターが完成します。
なお、このフィルターでは放射性物質、ダイオキシン、ヒ素、農薬、環境ホルモン、トリハロメタン、鉛など、体に有害と言われる不純物を除去できます。ヨウ素やセシウムなどの放射性物質を取り除けるのかと驚かれる方がいらっしゃるかもしれませんが、これらの放射線物質はROフィルターの孔より大きいと言われているため、理論上除去が可能だと言われています。
5．オゾン殺菌
RO水は塩素や加熱による殺菌を行いません。その代わりに使用するのがオゾンによる殺菌です。オゾンには塩素の約600倍の殺菌力があるため、バクテリアなど細菌の発生を防ぐことが可能。なお、水中に含まれるオゾンは24時間たつと化学反応を起こして酸素に変わるため、RO水は酸素を多く含んだ水と言えるでしょう。
6．ボトルに充填
できあがったピュアウォーターをボトルに詰めていきます。
なお、ボトルウォータータイプのRO水は、環境に配慮したリターナブルボトルを採用していることが多いです。飲み終えて空になったボトルは回収され、徹底的に洗浄・殺菌した上で再利用しています。そのため、RO水は、地球と環境に優しい水と言えるでしょう。
RO水（ピュアウォーター）のメリット
RO水（ピュアウォーター）には、普通の水やミネラルウォーターと比べてどのようなメリットがあるのでしょうか。
天然水よりも安い
RO水の最も大きなメリットは価格です。
天然水は地下から組み上げるなど自然の水を使用して作るため、採水地の近くに工場を作ってボトリングすることが多いですが、RO水はROフィルターなどのろ過装置と、国の安全基準を満たした原水があればどこでも作ることが可能。そのため、天然水のように製造場所を限定する必要がありません。各地域に工場や配送センターを作ることができ、遠くから水を運ぶ必要がないので、配送料の分だけコストダウンが可能です。
また、RO水は原水にこだわりがありません。水道水から作ることもできるため、地域限定の天然水に比べると低コスト。そのため同じ容量のボトルウォーターなら、天然水よりもRO水の方が安く手に入れられるでしょう。なお、逆浸透膜（RO）フィルターでろ過した水は不純物をほぼ取り除くことができるため、採水地がどこであっても常に一定の品質を保つことができるのが魅力です。
赤ちゃんのミルク作りに使用できる
RO水は余分なものが一切入っていないため、水分摂取として飲用するのはもちろん、様々な使い方ができます。
なかでもおすすめの用途は赤ちゃんのミルク作り、つまり調乳です。もちろん水道水を使って調乳しても良いのですが、少しでも良いお水を飲ませたいとお考えであれば、ミネラルウォーターよりもRO水がおすすめです。
ミネラルウォーターの多くは、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分を含んでいます。しかし、赤ちゃんの消化器官は未熟なため、ミネラル成分を大量に摂取すると内臓に負担がかかると言われているのです。また、ミネラルウォーターに含まれるミネラルが粉ミルクのミネラルバランスを崩してしまう可能性があるため、調乳に使う水は水道水、またはミネラル成分があまり入っていない軟水を使用するのが望ましいでしょう。つまり、不純物が一切入っていないRO水は調乳に最適な水なのです。
不純物が含まれていない＝何も邪魔をしないということですので、RO水なら不純物が薬の成分を阻害する心配もいらず、胃腸に負担をかけずに体に浸透するので、薬を服用する際の水にもおすすめです。その他、以下のような用途で使用できます。
- RO水ならご飯がふっくらツヤツヤに炊き上がる
- 素材の味を邪魔しないので調理に最適
- 水割りの水やロックの氷に使うとお酒本来の味が楽しめる
- 薬の服用にも安心して使える
- 弱酸性よりの中性だから洗顔や肌の乾燥ケアに良い
- 塩素が入っていないので金魚などの飼育用の水にも使える
- 不純物が入っていないから吸水率が高く、切り花が長持ちする
