
アパートやマンションの巡回清掃は、建物の共用部分を一定の周期で見回り、清潔で快適な住環境を保つために行われる清掃・管理サービスです。共用通路やエントランス、階段、駐車場などを簡易清掃しながら、設備の異常やゴミ置き場の状況もチェックします。
巡回清掃は、コストを抑えつつも建物の安全や衛生を維持したいと考えるオーナーや管理会社に注目されており、住民側からも安心して暮らせる環境づくりの手段として評価されています。定期的に人手が入ることで、日頃は見落とされがちな設備の不具合を早期発見できる点も大きなメリットです。
ここでは、巡回清掃の概要から作業内容、費用相場、依頼時の注意点までを幅広く紹介します。建物の価値を下げないため、また居住者満足度を高めるためにも、巡回清掃がどのように活用されているのかを知っておきましょう。
巡回清掃が注目される背景と需要
少子高齢化や都市部への人口集中によって、アパート・マンションの管理体制が複雑化しています。その中で巡回清掃が新たな需要を生み出す背景と理由があります。
近年、従来の定期清掃だけでは対応しきれない細かな建物管理ニーズが高まってきました。建物を常にベストな状態に保つためには、ある程度の頻度で汚れの確認や修繕箇所の発見が必要とされるからです。特にゴミ置き場の散乱やエントランス周りの埃などはすぐに目立ち、入居者や来訪者の印象を損ないます。
巡回清掃が注目される背景には、コスト面のメリットもあります。物件を週に数回程度の短時間で効率よく回ることで、フルタイムで専門スタッフを常駐させるよりも費用を抑えやすいのです。結果として、建物をきれいに保ちつつ管理費用も低減できるという利点を生み出しています。
また、定期的に巡回する清掃スタッフが設備や施設の異常を早期にキャッチし、オーナーや管理会社へ迅速に報告する仕組みも重要です。こうした体制が整うことで、建物の価値を長期的に維持しつつ、住民の安全を確保することが可能になります。
巡回清掃の主な作業内容
巡回清掃では、限られた作業時間内でも重要なポイントを押さえてきめ細やかな清掃を行います。代表的な作業内容を確認してみましょう。
巡回清掃の基本は、建物の外部と共用部を重点的に清掃するところから始まります。エントランスや共用廊下、階段はどうしても人の出入りが多く、ホコリやゴミが溜まりやすい箇所です。そのため、短い作業時間でも効率的に掃き拭きを進め、目立つ汚れを迅速に除去する必要があります。
さらに、必要に応じて除草作業やクモの巣除去など、建物の美観を損なう要素にも対応します。巡回時に落ち葉や雑草が散乱していると、部外者からは管理の甘い建物と捉えられかねず、入居者や来客が戸惑う場合もあります。こうしたポイントを押さえてこまめに作業することが巡回清掃の特徴です。
また、スタッフによる見回り点検が含まれる点も巡回清掃の要となります。ドアや照明の異常、設備不具合などに気づけば報告し、必要に応じて修繕や追加清掃に繋げられます。
アパート・マンション・ビルの共用部における巡回清掃サービスを展開するダイオーズカバーオールでは、清掃対象となる物件に応じた作業内容を1件1件仕様書にまとめてご提案いたします。以下は2~3階に居住スペースのあるマンション共用部における一般的な巡回清掃(週1回巡回)の作業内容一例です。
| 階数 | 対象箇所 | 作業内容 | 実施頻度 | 
|---|---|---|---|
| 1階 | 建物周り | ゴミの拾い掃き | 週1回 | 
| 1階 | 建物周り | 雑草除去 | 週1回 | 
| 1階 | ゴミ置き場 | 床の掃き掃除 | 週1回 | 
| 1~3階 | 建物全体 | クモの巣除去 | 週1回 | 
| 1~3階 | 階段 | 床の掃き掃除 | 週1回 | 
| 1~3階 | 階段 | 床の水モップ掛け | 週1回 | 
| 1~3階 | 階段 | 照明カバーのダスティング | 週1回 | 
| 1~3階 | 階段 | 手摺の清拭 | 月2回 | 
| 1階 | エントランス | 床の掃き掃除 | 週1回 | 
| 1階 | エントランス | 床の水モップ掛け | 週1回 | 
| 1階 | エントランス | 集合ポストの清拭 | 週1回 | 
| 1階 | エントランス | オートロックボタンの清拭 | 週1回 | 
| 1階 | エントランス | 照明カバーのダスティング | 週1回 | 
| 1階 | エントランス | ガラスドア全体の清拭 | 月1回 | 
| 2~3階 | 共用部 | 床の掃き掃除 | 週1回 | 
| 2~3階 | 共用部 | 床の水モップ掛け | 週1回 | 
| 2~3階 | 共用部 | インターホン上部のダスティング | 週1回 | 
| 2~3階 | 共用部 | 照明カバーのダスティング | 週1回 | 
| 2~3階 | 共用部 | 腰壁上部平行面のダスティング | 週1回 | 
このようにダイオーズカバーオールでは、物件ごとに応じた清掃仕様書を策定し、仕様に基づいたお見積もりを算出いたします。貴社の管理物件、ご所有物件に最適なプランとお見積もりはこちらからお問い合わせをお願いします。
エントランス・廊下の定期清掃
エントランスや廊下は、多くの住民や来訪者が日々通る建物の「顔」となる場所です。そのため、常に清潔感をキープしておくことが重要とされています。埃や歩行による汚れがすぐに溜まるため、巡回清掃の際には掃き拭き掃除を中心に丁寧な清掃を実施します。
特にエントランスは外気や雨風の影響を受けやすく、落ち葉や砂埃が入り込みやすい環境です。スタッフが定期的に見回り、すぐにゴミや落ち葉を取り除くことで住民のストレスを低減し、建物の第一印象を高めることができます。
清掃作業の際には、自動ドアや郵便ポスト周辺の拭き掃除も同時に行い、汚れや指紋の付着をこまめに取り除きます。こうした日常的なケアが適切に行われていることで、建物の全体的な印象は大きく変わってくるのです。
ゴミ置き場の管理とゴミ置き場限定プラン
ゴミ置き場は悪臭や害虫の発生源になりやすく、ときには入居者トラブルの原因にもなります。そこで、巡回清掃時にゴミの分別や不法投棄の有無、高温期には特に注意が必要な臭い対策などをチェックし、清潔な状態を維持します。
ある程度ゴミの量が増えると、ゴミ置き場周辺を洗浄するプランも選ばれることがあります。洗浄を行うことで悪臭を抑えるほか、衛生的な環境を確保することができます。物件の規模や用途に合わせて、ゴミ置き場だけを対象にした巡回清掃を計画的に導入するオーナーも増えています。
また、ゴミ置き場は社会的にも注目されやすい場所であり、ゴミの出し方のルール違反が続くと近隣トラブルに発展することも考えられます。巡回清掃によって状況をこまめに管理することで、安心して利用できるゴミ置き場環境を保つことができます。
異常報告やトラブル対応の重要性
巡回清掃の大きな特徴の一つは、清掃作業だけでなく建物全体をチェックする役割も担っている点です。施設内の照明の故障やドアの不調など、初期段階で気づけばすぐに対処でき、後々の大きな修繕費用を抑えることにつながります。
異常やトラブルを発見した際は、清掃スタッフが管理会社やオーナーに対して迅速に報告する仕組みを整えることが大切です。緊急性のある問題の場合、清掃後に続けて専門業者の手配が可能なため、被害やトラブルを最小限に抑えられます。
こうした対応力により、建物内で想定外の出来事が起きた場合も早期に解決への道筋を立てられます。結果的に、住民は安心して暮らすことができるので、巡回清掃サービスが物件の評価アップにつながっているのです。
巡回清掃の頻度とオーダーメイドプランの立て方
自社物件の状況や住民のニーズに合わせて清掃頻度を調整することは、巡回清掃を成功させる鍵です。オーダーメイドプランで柔軟に対応しましょう。
一般的には、月に2〜4回の頻度で巡回清掃を導入するケースが多いとされています。物件の規模や立地条件により汚れ方や湿度の影響が異なるため、その場所に合った最適なプランを検討することが肝心です。
頻度を多く設定すると常に清潔感を保てる半面、そのぶん費用がかさむ可能性もあるため、コストと美観のバランスを考慮する必要があります。繁忙期や入居率の高いシーズンなど、季節によっても最適な清掃プログラムは変わるでしょう。
また、清掃内容の細分化も重要です。ゴミ置き場や駐車場など、特に汚れやすい場所以外は最低限の清掃にとどめ、必要な場所に労力を集中させるなどの工夫が求められます。こうした柔軟なオーダーメイドプランを組むことで、コストパフォーマンスを高められるでしょう。
駐車場巡回清掃と植栽メンテナンス
駐車場や植栽まわりは、常に車や人が通る場所であり汚れやすい箇所です。安全性を確保しつつ作業を円滑に行うために押さえておきたいポイントを解説します。
駐車場や植栽エリアは、建物の外周に位置していることが多く、ゴミや落ち葉が溜まりやすい上に車両や歩行者の往来も頻繁にあります。そのため、周囲の安全を確保しながら清掃を行う必要があります。
また、強風や雨にさらされることが多いエリアでもあるため、定期的な掃き拭きだけでなく、砂や泥の除去も重要になります。特に、滑りやすい路面は車両事故のリスクになるので、注意して作業を進めることが大切です。
植栽管理においては、害虫発生や伸びすぎた枝葉が看板や建物に接触する危険を防ぐことが欠かせません。きちんとカットを行い、周囲との境界を整えることで建物の美観は大きく向上し、防犯効果の面でもプラスになります。
駐車場巡回清掃の作業ポイント
駐車場の清掃では、駐車スペースや通路に落ち葉やゴミが残らないようこまめな掃き取りを行い、車を移動させる必要がある場合は事前に住民の予定を確認するなどの配慮が求められます。
特に夜間や早朝の清掃では騒音に注意し、周囲の住民に配慮した方法で作業を進めることが運営上のポイントです。車が多い物件の場合、作業時間を細かく分ける方法もあります。
安全確保のため、カラーコーンや誘導員の配置を検討するのも重要です。作業スペースを明確に区切ることで、車両との接触事故や歩行者とのトラブルを防ぎます。
植栽剪定や周囲清掃の安全対策
植栽が伸び放題になると、建物の外観を乱すだけでなく、照明を遮って夜間の視認性が悪化することも考えられます。伸びた枝葉には害虫が住み着きやすいため、定期的な剪定が推奨されます。
剪定作業には専門技術が必要な場合もあるため、専用の道具や知識を持ったスタッフの手配が重要です。安全装備をしっかりと着用したうえで、植栽の周囲を清掃し、落ちた枝葉を速やかに回収することで作業環境を整えます。
また、車や人の往来があるエリアでは、刃物や剪定ばさみなどの道具の取り扱いに十分配慮し、作業エリアと通行エリアを明確に区別します。何よりも、周辺住民への配慮と事前案内を行うことでスムーズに作業を進めることができます。
費用相場とチェックすべき見積もり項目
巡回清掃を検討するうえで気になるのが費用面です。相場を把握し、見積もり項目をしっかり確認することで、無駄やトラブルを回避できます。
巡回清掃の費用は、清掃頻度や一回あたりの作業時間、対応エリアの広さによって大きく変動します。一般的にはワンルーム規模の小型物件から中規模マンションまでで月額数万円程度、新築や大規模マンションなどはさらに高額になる傾向があります。
見積もりでは、基本清掃に加えて特別清掃の範囲や発生する交通費、人件費などを細かくチェックすることが大切です。ゴミ置き場や駐車場など、別途プランがある場合は追加料金の有無も確認しておく必要があります。
また、報告書や写真付きのレポートを提供してもらえるかどうか、緊急対応が可能かなど、サービス内容の充実度も比較検討の材料として重要です。費用だけでなく、総合的なサービスレベルも踏まえて最終的に判断しましょう。
空家・空室巡回管理清掃の活用方法
空家や空室の増加に伴い、物件の資産価値を落とさないための巡回管理が注目されています。定期的に清掃・点検を行うメリットを確認しましょう。
空室の多い物件や、住民の少ないエリアにあるアパートやマンションでは、清掃の目が行き届きにくく、建物が荒れがちになるリスクがあります。巡回清掃を活用すれば、空家や空室にも定期的に人の手が入り、汚れや異常をこまめにチェックできます。
空家や空室は、人の出入りが少ない分、カビや埃が溜まりやすく、設備不具合にも気づきにくい環境です。そこで巡回清掃を導入することでこまめに室内を換気し、故障を発見して修繕に早めに取り組むことができます。
定期的に手入れをしている物件は、いざ入居の募集を始めた際にも好印象を与えられるため、資産価値の維持だけでなく空室対策にも役立ちます。
トイレお掃除定期便などの特殊清掃メニュー
トイレや専用部分など、特定の場所を重点的にきれいに保つ特殊清掃メニューも存在します。目的や予算に合わせてカスタマイズ可能です。
共用トイレや小規模の来客用トイレなど、汚れやすい場所を重点的に清掃する「トイレお掃除定期便」のような追加プランがあります。衛生状態をしっかり保つことで、利用者の満足度を高められます。
特に、飲食店併設のマンションや商業スペースがある複合施設ではトイレの利用頻度が高く、汚れが目立ちやすい傾向があります。専門業者による定期的な洗浄を依頼しておくことで、トラブルやクレームを未然に防ぐことができます。
また、屋外スペースや専用の喫煙所など、一般的な清掃プランから外れた箇所にも対応してもらえる場合があります。依頼内容の幅を事前に確認し、物件の特性に合わせてメニューをカスタマイズすることがおすすめです。
巡回清掃を上手に依頼するための注意点
依頼先の選定や打ち合わせのポイントを押さえることで、より高品質な巡回清掃サービスを受けられます。ここでは発注時の注意点をまとめます。
まずは実際に清掃に入る業者の実績や口コミをチェックすることが肝心です。特に、巡回清掃の経験が豊富なスタッフが多いかどうかは、サービス品質に直結します。
次に、契約内容に関しては清掃の頻度や対応範囲、清掃スタッフの人数や報告体制などを細かく確認しましょう。料金が明確に示されているか、追加費用が発生するタイミングはどこかといった点を把握することが重要です。
最後に、清掃内容の報告手段をしっかり決めることも重要です。口頭報告だけでなく、定期的に写真付きの報告書を受け取れる環境を整えると、遠方オーナーでも安心して物件管理を行うことができます。
業者選定におけるポイントについてはこちらの記事もご覧ください。
まとめ
アパート・マンションの巡回清掃は清潔さを保つだけでなく、建物価値の維持、安全安心な環境づくりにも寄与します。各種サービスやプランをうまく活用し、自身の物件に適した巡回清掃を取り入れましょう。
巡回清掃は、エントランスや廊下、駐車場、ゴミ置き場などの共用部分を定期的に清掃し、異常やトラブルを早期発見するサービスとして多くの物件に導入されています。限られた時間の中で効率的に建物をきれいにできるほか、建物管理の負担を軽減できるメリットが大きいです。
ゴミ置き場専用のプランやオーダーメイドプランなど、物件の規模や用途に合わせて選べるメニューが増えており、建物の特性にピッタリ合った清掃を実施しやすくなっています。さらに、空家・空室を狙った巡回管理は、資産価値を保つための新しい手段として注目を集めています。
建物に携わる全ての関係者にとって、巡回清掃は快適な住環境を守るための心強いパートナーです。費用相場や契約条件をしっかりと確認しながら、信頼できる業者を見つけて、建物の魅力と資産価値を維持していきましょう。

