企業には従業員の働きやすい職場環境を整えることが求められています。では、従業員にとって働きやすい環境とは具体的にどのような状態を表すのでしょうか。この記事では「働きやすい職場環境」について解説した上で、企業にどのようなメリットをもたらすのか、またどのように環境づくりを進めていけばいいのかについて紹介します。
厚生労働省も「働きやすい職場環境づくり」を推奨
企業には従業員が働きやすい職場環境を構築することが求められています。労働時間の長時間化を防ぎ、休暇制度や給与・賞与などの待遇を改善することで、従業員の業務に対するモチベーションや離職率の抑制につなげられるというメリットもあります。国も働きやすい職場づくりを推奨しており、厚生労働省が公表しているリーフレットでも、労働条件が良い企業の方が「働きやすさ」の意識が高いという調査結果を紹介しつつ企業に職場環境の改善を促しています。
従業員にとって働きやすい環境とは?
では、働きやすい環境とは具体的にどのような状態のことを表すのでしょうか。それには、多岐にわたる要素が絡んでいます。ここでは、人間関係、情報共有、オフィス環境、ワークライフバランス、福利厚生、評価基準というそれぞれ異なる観点を基に理解を深めていきます。
人間関係が良好である
上司と部下、同僚同士の人間関係の良い職場は、従業員がストレスをあまり感じることなく業務も円滑に進められます。業務上の相談や確認、報告といったコミュニケーションを取りやすいため、問題の発生を未然に防ぐことが可能です。立場を問わず誰もが率直に意見できる職場環境では、商品・サービスの向上や改善に対する建設的な意見が出やすいというメリットもあります。
一方、職場内でいじめやハラスメントがある場合、業務に悪影響を与えるため、抜本的な対策が必要です。まずそれらの問題が起こりにくい職場環境を整えるほか、実際に問題が起こった場合の対処方法を事前に整備しておくことが重要です。
スムーズに情報が共有される
スムーズに情報が共有できる職場環境も働きやすさに大きく関係します。従業員の誰もが情報に素早くアクセスできることで、業務の効率が上がります。一方で情報共有がうまくいかない場合、業務の無駄が増え、全体の業務負荷が増えることとなります。
また、情報共有ができる仕組みを構築することで、トラブル発生時にも早期に発見することが可能です。これにより従業員個人の弱点を補うことができるほか、組織全体にさらなる業務効率の向上をもたらします。
オフィスの環境が整備されている
オフィスの環境を整備することも働きやすさと関係しています。厚生労働省では、企業が経営的な視点から従業員の健康を捉え、戦略的に実践する「健康経営」を提唱しており、その一環として「健康経営オフィス」の構築を推進しています。健康経営オフィスとは、企業が従業員に健康を保持・増進する行動を誘発することで、心身の調和と活力の向上を図り、それによってパフォーマンスを最大限に発揮できる場のことです。
たとえば、常に騒音が鳴っていたり室温が適切に管理されていなかったりする働き手にとって劣悪な環境の場合、業務に対する集中力やモチベーションの低下を招きます。現代においては以前にもまして清潔で快適な職場環境の整備が求められています。
ワークライフバランスが取れる
近年、ワークライフバランスを重視する傾向が高まっています。日本ではこれまで、家庭を顧みずに長時間働くことが美徳とされてきました。しかし、近年では従来の働き方を是正し、仕事とプライベートの両方を充実させることが求められています。
企業が従業員のワークライフバランスを実現するには、有給休暇をはじめとする福利厚生を整備し、定められた労働時間の範囲内で高いパフォーマンスを発揮できる環境を構築しなければなりません。限られた時間の中で効率良く業務を行うためには、効率の良い仕事の進め方を構築し、常に見直しと改善を繰り返すことが必要です。
福利厚生が充実している
働きやすい職場であるかどうかは、企業が提供する福利厚生が充実しているかどうかという点も、大きく影響します。福利厚生は、有給休暇や育児休暇といった法で定められている休暇制度などのほか、従業員の働きやすさやワークライフバランスをサポートするためのさまざまな施策があります。たとえば、フレックスタイム制度や時短勤務制度を通して、従業員の柔軟な働き方を支援することが可能です。また、社内イベントの実施や社員食堂の整備は、従業員の業務へのやる気を引き出したりリフレッシュを促したりする効果が得られます。
評価の基準が明確である
従業員の評価基準を明確化することも、働きやすい職場づくりにおける重要な要素です。評価基準が明確であれば、従業員は評価されるために日々の業務において、自身のやるべきことや優先するべきことが分かります。一方で、明確な判断基準が示されない場合、「何をどれだけ頑張ればいいか分からない」「どうせ努力をしても報われない」といったマインドが醸成されかねません。そのような職場では従業員の働くモチベーションが上がらず、優秀な人材も定着しなくなります。
企業にとって働きやすい環境を整えるメリットとは?
生産性が上がる
働きやすい環境を作ることによってもたらされるメリットとして、まず従業員の生産性が向上することが挙げられます。福利厚生の充実などで従業員のワークライフバランスが保たれ、モチベーションが向上することでやりがいを持って業務に臨むようになります。それによって職場の人間関係が良好となり、情報共有も円滑化します。こうした好循環によって生産性向上の効果が期待できます。
離職率の低下につながる
働きやすい環境によって、離職率の低下が期待できます。これにより、企業は人材の育成にかかるコストを抑制することが可能です。また、人材を募集する必要が少なくなるため、求人コストを抑制できるほか、人事の負担も減らせます。その結果、育成・採用の両面でコストの削減につながります。
ブランドイメージが向上する
企業のブランドイメージが向上するというメリットもあります。働きやすい職場環境を構築することで、従業員満足度(ES:Employee Satisfaction)が高まります。これにより、ブランドイメージを高める意識を企業と従業員とが共有することが可能です。このような好循環が生まれることで、求職者への訴求につながり、ブランドサイトの向上にも寄与します。
働きやすい環境を作る方法
DXを進める
企業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進は、働きやすい環境を作る方法としても有効です。DXを推進する目的のひとつに働き方改革につなげることが挙げられますが、DXの実現によってリモートワークでも業務効率を下げることなく仕事を進めることが期待されています。それによって通勤時間の削減や家庭で過ごす時間が増加し、ワークライフバランスを実現することが可能です。またDXの推進は、ITを導入して業務を効率化することで人手不足の解消にもつながります。そのため、従業員の業務負担を減らすことが可能です。
ハラスメントをなくす
職場からハラスメントを撲滅することで、良好な人間関係が保たれた風通しの良い職場づくりにつながります。ハラスメントは従業員の尊厳や人格を大きく毀損するものであり、あってはならないことです。また、職場にハラスメント事案を抱えていることが明るみに出ると、企業イメージの悪化は免れません。一度付いてしまったイメージを払拭するには相当な時間がかかります。
ハラスメントをなくすためには、ハラスメントが起こる原因を知る必要があります。たとえば、無理な目標を設定することで上司がプレッシャーを感じ、部下に強く当たることでパワー・ハラスメントへと発展するケースが考えられます。この場合、企業は目標の適正化を図ることが求められます。また、上司に対して部下とのコミュニケーションの取り方やコミュニケーションスキルに関する研修の受講を促すなどの施策が必要です。
この他にも、セクシャル・ハラスメントやマタニティ・ハラスメントなど多様なハラスメントが職場では起こりえます。それらの発生を防ぐ具体的な方法としては、定期的な面談や専門の相談窓口の設置、定期的な研修の実施などが挙げられますが、いずれも特効薬とはならないため、上記の内容を継続しながら風通しの良い職場づくりを目指すことが必要です。
社内規定を見直す
従業員の評価基準をはじめとする社内規定を見直すことも、働きやすい環境づくりにつながります。2020年からの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を契機として、リモートワークの導入が広く進みました。これによってワークライフバランスが改善された一方で、企業や上司が従業員の業務内容を正確に把握できているのかを不安に感じている従業員が増えています。そのような背景がある中、評価基準や待遇をリモートワーク態勢に適したものに見直すことは、従業員のモチベーション向上につながります。
オフィス環境を整える
働きやすい職場環境を作るには、オフィスの整理整頓や清掃を徹底し、清潔に保つことも大切なポイントです。オフィスが汚いままだと、従業員のモチベーションに悪影響を与えます。書類や荷物の整理がなされていない状態は、必要な時に必要な物が見つからない事態を引き起こし、生産性の低下を招きかねません。きれいなオフィスは来客者や取引先にも好印象を与えることができます。そのため、「5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)」運動を全社的に実施するなど、整然としたオフィス環境を整えることが重要です。
働きやすい環境づくりならダイオーズのクリーンケアサービス
清潔なオフィス環境を整えるには、プロの清掃サービスを利用する方法もあります。オフィスサービスのダイオーズでは、クリーンケアサービスを提供しています。オフィスや店舗を知り尽くした熟練のプロフェッショナルが快適な環境衛生をサポートします。定期清掃サービスのほか、除菌機能のある空気清浄機のレンタルや除菌のプロによる感染対策など、豊富なサービスをラインナップしています。
まとめ
働きやすい職場環境とは、従業員にとってワークライフバランスの取れた風通しの良い職場を指します。これは、企業においても生産性の向上や離職率の低下などのメリットをもたらします。環境の整備にはDXの推進やハラスメント防止など多岐にわたる施策が必要です。まずは清潔な環境を整えることから始めることをおすすめします。