
病院・クリニックは体調不良の患者様が集まり、人の出入りも多いため、空気中の粒子(ホコリ・花粉・PM2.5)や臭い、エアロゾル対策が欠かせません。空気清浄機は院内の空気環境を整え、患者様の安心感やスタッフの働きやすさにもつながります。
本記事では、病院に空気清浄機が必要な理由を整理したうえで、性能指標(適用床面積・CADR)、フィルター構成、静音性・運用コスト、設置タイプまで、現場で失敗しない選び方を解説します。最後に場所別(待合・診察・病室など)の選定ポイントもまとめます。
空気清浄機は万能ではありませんが、換気や清掃などと組み合わせることで、院内の空気リスクを下げ、快適さを底上げする実務的な設備投資になります。導入後に効果を感じにくい原因は、機種選定よりも運用設計にあることも多いため、その視点も含めてお伝えします。

病院に空気清浄機が必要な理由

院内の空気環境は、感染対策の一部であると同時に、患者様の不安軽減や快適性にも直結します。病院で空気清浄機が求められる背景を、効果の範囲と目的別に整理します。
病院は、発熱や咳などの症状のある方が集まりやすく、待合室や受付のように会話が発生する場所も多いため、空気中の微粒子が増えやすい環境です。空気清浄機は室内の空気を循環させながら粒子を捕集し、空気の汚れを減らす役割を担います。
また、病院は臭いに敏感な方が多く訪れる場所でもあります。消毒や薬品、体臭、トイレ臭などが混ざると、清潔にしていても「ここは不衛生かもしれない」という印象につながりかねません。脱臭まで含めた空気対策は、患者様の安心感や満足度を高めます。
さらに見逃せない点として、スタッフの働きやすさが挙げられます。空気のこもりや臭いが軽減されるとストレスが下がり、長時間勤務の負担を減らせます。結果として、体調不良や欠勤リスクの低下など、医療提供体制の安定にも寄与します。
感染対策としての効果と限界
空気清浄機に期待できる役割は、「空気中に浮遊する粒子を捕集し、濃度を下げる」ことです。つまり、換気・マスク・手指衛生・動線分離(ゾーニング)などの代替にはならず、あくまで補助として組み合わせることが基本です。
HEPAフィルター等を搭載した機種は、花粉やハウスダスト、PM2.5など多くの粒子を捕集対象とします。一方で、ウイルス単体は非常に小さく、捕集基準としてよく語られる0.3μmより小さいため、サイズの話だけを切り取ると誤解が生まれます。実際の院内では、咳や会話で発生したエアロゾルが水分や他の粒子を含んで漂うため、フィルターで捕集され得る対象として考えることが実務的です。
UV、イオン、次亜塩素酸などの複合技術をうたう機種は、目的とリスク評価が重要です。期待できる場面がある一方、院内では薬剤・臭気・機器配置など制約も多いため、まずは1時間あたりに処理できる空気の量(風量)が多い方式を軸に、必要に応じてUVやイオンなどの技術を組み合わせて検討すると失敗しにくくなります。
運用面では、置き方とメンテナンスが効果を左右します。吸込口や吹き出し口を塞ぐと風量が落ち、清浄スピードが大きく低下します。さらに、プレフィルターや本体内部が汚れたままだと性能低下だけでなく、汚れや湿気が原因で別の問題を招くこともあるため、清掃と交換の体制まで含めて感染対策として成立します。
臭い・VOC対策と快適性の向上
院内では、アルコールや薬品、消毒剤、体臭、寝具や排泄物由来の臭い、トイレ臭など、発生源が多岐にわたります。臭いは体調が悪い人ほど不快に感じやすく、滞在のストレスを強めるため、空気の清潔感づくりはサービス品質の一部になります。
臭い対策の中心は活性炭などの脱臭フィルターです。ガス状成分やVOC(揮発性有機化合物)を吸着し、空気の「刺さる感じ」やこもり感を減らします。待合室で臭いが減るだけで、清掃が行き届いている印象が強まり、院内全体への信頼感につながります。
出典:https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/air/air_pollution/voc/what_voc(「VOCとは?」参照)
ただし、臭いの種類によっては空気清浄機だけでは限界があります。発生源が強い場合は、清掃頻度の見直し、発生源の密閉、換気ルートの改善、ゴミの仮置き場所の工夫などが優先されます。空気清浄機は、発生源対策だけでは減らしきれない臭いを補って軽減する役割と捉えると、投資効果がブレにくくなります。
病院向け空気清浄機の選び方

院内では「広さ」「用途」「稼働時間」「人の動線」が家庭と大きく異なります。性能指標と運用面をセットで評価し、必要十分な機種を選ぶためのチェック項目を解説します。
病院用の空気清浄機選びでありがちな失敗は、カタログの畳数だけで決めてしまうことです。院内はドア開閉が多く、レイアウトも複雑で、人の動きにより空気がかき回されます。想定より汚れが入ってくる前提で、性能に余裕を持たせることが重要です。
次に重視したいポイントは「継続運用できるか」です。24時間稼働や長時間運転が前提になるケースも多く、静音性や電気代、フィルター交換の手間と費用の差が、機種選定の判断を大きく左右します。導入費だけでなく、1年単位の総コストと作業負担で比較すると判断がぶれません。
最後に、設置タイプと動線です。空気清浄機は空気が通らなければ働けない設備なので、置き場所で効果が変わります。院内の導線、車椅子やストレッチャーの通行、患者様の視認性まで含めて設計すると、患者様から見た対策の説得力が高まります。
適用床面積とCADRで選ぶ
適用床面積は、一定条件下で「この広さなら短時間で清浄できる」という目安です。ただし院内では、出入口の開閉、人の出入り、受付での会話、空調の気流、カーテンやパーティションなどで空気の回り方が変わり、カタログ通りの効率が出にくいことがあります。
そのため実運用では、設置する部屋の広さに対して余裕のある適用床面積の機種を選ぶことが安全です。特に待合室や廊下のような高負荷空間は、家庭用機種の上位モデルでも風量不足になることがあるため、高風量の業務用機種や複数台配置も現実的な選択肢になります。
CADR(Clean Air Delivery Rate)が併記されている場合は、実際にどれだけきれいな空気を供給できるかを風量ベースで比較しやすくなります。同じ畳数表記でもCADRが高いほど清浄スピードが期待できるため、滞在人数が多い場所や回転が早い場所ほど、CADRや最大風量を重視すると効果の差を実感できます。
※CADRは米国家電製品協会(AHAM)が定める指標です。
出典:https://ahamverifide.org/ahams-air-filtration-standards/(「Air Filtration Standards」参照)
フィルター性能で選ぶ(HEPA・脱臭・プレフィルター)
病院向けでは、フィルターの役割分担を理解して選ぶことが大切です。微粒子の捕集はHEPAフィルターまたは同等性能の集じんフィルター、臭い・VOCは活性炭などの脱臭フィルター、大きなホコリや髪の毛はプレフィルターが受け持つ構成が基本です。
プレフィルターがしっかりしている機種は、内部の目詰まりが起きにくく、結果として性能が落ちにくい傾向があります。院内は繊維くずや紙粉も多く、想像以上にプレフィルターが汚れるため、取り外して掃除しやすい構造かどうかは重要な比較ポイントです。
まず確認したい点は、フィルターの等級表記と入手性です。「HEPA相当」と書かれている場合はメーカーの仕様をよく確認し、交換品が継続供給されるか、納期が読めるかも見ておきます。医療現場では、交換品が手に入らないこと自体が運用停止リスクになるため、導入前に型番と購入ルートを確保すると安心です。
静音性と運用コストで選ぶ(電気代・フィルター交換)
診察室や病室では、運転音が小さいことが重要です。騒音は患者様の緊張を高めたり、問診の聞き取りを邪魔したりするため、静音運転時のdBだけでなく、必要な清浄力を出したときの運転音も確認すると実態に合います。
運用コストは、電気代と消耗品が中心です。電気代は消費電力と稼働時間で決まるため、長時間稼働する場所ほど差が出ます。また、フィルターや薬剤、電極などの消耗品は、交換頻度と単価に加え、交換作業の工数もコストとして見積もると実務に合います。
比較は「購入費+1年(または3年)のランニング総額」で行うと失敗しにくくなります。複数台導入や定期交換が前提の施設では、リースや保守契約でメンテナンスを外部化する選択肢も有効です。現場の負担が下がると、性能を維持しやすくなり、投資効果が安定します。
設置タイプと動線で選ぶ(床置き・壁掛け・天井・パーティション)
床置きタイプは導入が容易で、必要に応じて移動できることが利点です。一方で、通路幅が限られる院内では動線を塞ぎやすく、車椅子やストレッチャーの通行を妨げない配置が必要になります。
壁掛けタイプは省スペースで、転倒リスクを下げられる点がメリットです。床面清掃の負担も減らせます。天井タイプは工事が必要ですが、動線を塞がず広い空間に対応しやすいため、待合室や廊下などで有力になります。
パーティションタイプは受付や会計など対面の場面で、呼吸域に近い空気を吸引しやすい構造を選べることが特徴です。空間全体を一気に清浄するというより、対面時のリスク低減を補助する目的で考えると、導入の狙いが明確になります。
設置位置は、吸排気を塞がないことが最優先です。外気が強く入る窓やドア付近は効率が落ちやすい一方、患者様が「対策している」と視認できる位置に置くことで安心感につながる側面もあります。清浄効率と心理的効果の両方を満たす位置を、現場で試運転しながら決めることが確実です。
場所別の選定ポイント

院内は部屋ごとに人の密度、滞在時間、臭い元、求められる静かさが異なります。代表的なエリア別に、必要性能と運用上の優先順位を整理します。
同じ病院内でも、待合室と病室では求められる条件が大きく異なります。空気清浄機は「一番困っている問題」に合わせて選ぶと効果を感じやすく、導入後の納得感も高まります。
また、部屋単位で完結して見積もると、廊下やドア開閉による空気の出入りを過小評価しがちです。空間がつながっている場合は、隣接エリアからの流入も踏まえ、余力のある風量設計や複数台配置を検討すると、院内全体の空気環境が安定します。
以下は、現場で優先順位をつけやすいように、代表的なエリア別の選定軸を整理したものです。
待合室・受付/診察室・処置室/病室/スタッフルーム
待合室・受付は、人の出入りが多く、短時間で空気を入れ替える力が重要です。適用床面積とCADRに余裕がある高風量タイプを優先し、臭いが気になる場合は脱臭フィルターの性能も重視します。受付の対面エリアは、パーティションタイプや対面用の配置で呼吸域対策を追加すると、受付スタッフが患者様に対策内容を説明しやすくなり、患者様の安心感にもつながります。
診察室・処置室は、静音性と清浄スピードの両立がポイントです。問診や説明が聞き取りやすい運転音かを確認し、薬品臭や処置由来の臭いがある場合は脱臭性能も見ます。ベッド周りや器具棚の動線を邪魔しない位置に置き、吸排気が塞がれないように配置します。
病室は、特に夜間の静音運転と、患者様の負担を増やさない気流が重要です。風が直接当たらない位置に置き、必要に応じて運転モードを調整します。加湿一体型は乾燥対策に便利ですが、清掃箇所が増えるため、院内のメンテ体制があるか、単体加湿器との分担がよいかまで含めて判断します。
スタッフルームは、長時間滞在の快適性を優先します。花粉やPM2.5の対策としてHEPAフィルター等の集じん性能を重視し、飲食臭が気になる場合は脱臭性能も確認します。忙しい現場ほどメンテの手間が課題になるため、プレフィルター清掃が簡単で、消耗品の交換頻度が現実的な機種を選ぶと継続運用しやすくなります。
ダイオーズの空気清浄機ラインアップと、院内での活用イメージ
ここまで見てきたように、病院の空気対策では「広範囲をカバーできる風量や拡散力」「診察室・病室で邪魔にならない静音性」「継続運用できるメンテナンス体制」が要点になります。ダイオーズでは、こうした課題に合わせて選べる法人向け空気清浄機・空間消臭機器のレンタルサービスを提供しています。ラインアップにはAirdog、ナノシード、プラズマクラスター、クリンミストがあり、設置場所や目的に応じて組み合わせが可能です。
このうちAirdogはHEPA等のフィルターで空気を吸引・捕集する集じんタイプで、これまでの章で解説してきた性能指標(適用床面積・CADR・フィルター構成)がそのまま当てはまります。一方、次に紹介するナノシードはフィルターで空気を吸うタイプではなく、消臭機能水をナノ化して空間に拡散するタイプです。集じんタイプとは仕組みが異なる点を踏まえたうえで、設置場所に応じて使い分ける、または組み合わせることができます。
中でも、待合室のような広い空間のニオイ対策から診察室・病室の静けさまで幅広くカバーできる製品がナノシードです。
- 1台で最大100畳までカバー:特許を取得した独自の技術で、ナノ化した消臭機能水「A2Care」を空間に広範囲に拡散します。待合室や廊下など、人の出入りが多く空気が動きやすい空間でも、複数台に頼らず対応しやすくなります。
- 静音性に優れた設計:イオンエンジン技術を活用した構造により、稼働音を大きく抑えています。問診の聞き取りやすさや夜間の静音性が求められる診察室・病室にも設置しやすい設計です。
- 各種試験をクリアした成分を採用:機能水「A2Care」は、第三者機関による各種安全性試験(皮膚一次刺激性試験、急性経口毒性試験など)をクリアした成分です。航空会社や空港ラウンジなど、高い衛生・環境管理が求められる場所でも採用されています。
※出典:https://www.a2care-anatc.com/business/evidence/(「A2Careの特長」参照) - メンテナンスフリーの運用:レンタル契約のため、4週間ごとにダイオーズの専門スタッフが訪問し、機能水の補充や機器の定期メンテナンスを行います。院内スタッフの手間や管理負担を増やさずに運用できます。
- 安心の国内製造:長野県佐久市の工場で製造された日本製で、厳格な品質管理を行ったうえでお届けしています。
導入費用や詳しい設置例など、ナノシードの仕様は下記特設サイトでご確認いただけます。
まとめ:病院に合う空気清浄機を選び、院内の空気環境を整える
空気清浄機は「感染対策の補助」「臭い/VOC対策」「清潔感による安心感」という3つの観点で、病院の環境づくりに役立ちます。ここまでの内容を踏まえ、選定の要点を振り返ります。
病院の空気清浄機は、空気中の粒子を減らすことで感染対策を補助し、脱臭によって不快感を減らし、患者様が安心できる清潔感をつくる設備です。重要な点は、換気や清掃と組み合わせ、目的と限界を理解したうえで使うことです。
選定では、部屋の広さに対して余裕のある適用床面積やCADRを確認し、HEPAフィルター等の集じん、活性炭等の脱臭、プレフィルターのメンテ性まで一式で評価します。さらに、診察室や病室では静音性、院内全体では電気代と消耗品を含む総コストを見て、継続できる機種を選びます。
設置後に効果を出すには、吸排気を塞がない配置、動線への配慮、定期清掃と交換のルール化が欠かせません。院内の課題が大きい場所から優先的に導入し、必要なら複数台配置も含めて設計することで、空気環境を安定して整えられます。広範囲対応・静音性・安全性・メンテナンス体制を兼ね備えたナノシードのようなレンタル型の選択肢も、現場の運用負担を抑えながら空気環境を整える方法のひとつです。
